「すきっ歯」=歯間離開=

症例

他院様より転院されてこられた患者様です。

治療後の歯の痛みが取れないということでご来院され治療を行っていましたがいつも口元を手で隠しながらお話されるのでお伺いしてみると
「前歯が恥ずかしくて・・・」
(そういえば待合室でお知り合いの方がいらした時も慌ててバッグからハンカチを取り出し口元を隠してお話されていました)

いわゆる『すきっ歯』です(歯科では歯間離開といいます)
前医でも隙間を埋めるべく試みてはいたようです。


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向かって左側の歯に隙間を埋めた後が残っています。恐らく右側にも同じようにあったと思われますが取れて無くなっています。
そこで再度隙間を埋める治療を行いました。(前医と同じダイレクトボンディング法)
一般に白い詰め物をする際に使用するコンポジットレジン(CR)でもともとの歯のようにCRを付け加えて隙間を埋めます。


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残っていたCRを除去したところけっこう隙間があります。CRを付け加えると歯が大きくなってしまうので、大きく見えすぎないような形に整え元の歯の色に合わせて色を選択しCRを付け加えました。

 

ku-yo ブログ3
元の歯とCRで付け加えたところの見分けが付かないようにきれいに仕上がりました。白一色ののっぺりした色合いではなく適度に透明感もあります。
とても楽しく明るく良くお話される患者様です
「これで口元を隠さずに話せます!」と大変お喜びいただき私共もうれしく思いました。

 

余談ですが、

日本ではすきっ歯は好ましく思われませんが、欧米ではチャームポイントのひとつでかわいいとか魅力的と思われるそうです。
サッカー選手のロナウド、歌手のマドンナやエルトンジョンなど海外セレブにも結構すきっ歯の方はいらっしゃいます。マドンナに至っては魅力的に見せるためにあえてすきっ歯にしたのではという噂もあるようです。
フランスでは隙間から幸せが入ってくるといわれる一方、逆に中国では隙間から幸せが逃げてしまうといわれているそうです。
日本でも福が逃げる・金運が逃げると思われる方もいらっしゃるとか。

また、すきっ歯ではないのですが、日本では八重歯はかわいいとチャームポイントの一つです。以前にはあえて八重歯にする人もいたりしたようですが、欧米ではドラキュラをイメージするためか悪い歯・不吉な歯とされているとか。

「ところ変われば」ということですね

 

 

 

お口の中の大きなできもの(フィステル)=根尖性歯周炎=

ていねいな治療 確実な治療 根治(根の治療) 症例


左下の歯ぐきが腫れたということで来院された患者様です。
大きなできものがあります。これは歯の根の病気からできた『フィステル』とよばれるものです。通常は少し盛り上がっている程度のものが多いのですが、ここまで大きなものは珍しいのではないかと思います。
痛みは全くなく噛むことも普通にできるので食事にはなんの不自由もないのですが、さすがに歯を磨くと歯ブラシがあたって痛いということです。

 

2015年02月20日 ブログ

レントゲンを撮ってみると根管充填はしっかりとしてありますが、根の周りに黒い影があります。
難治性の根尖性歯周炎』と考えられます。
根の中の細菌を無菌状態となるまで徹底的に除菌する治療が必要ですが治療回数を極力減らしたいので、膿を出すだけでそれ以上の治療はしたくないという患者様の強いご希望により根の治療は行いませんでした。

 

膿を出し炭酸ガスレーザーでフィステルを除去したところです。抗生剤と鎮痛剤を投与し治療を終了しました

 

 

前回の治療から3か月半後
再び同じところにフィステルが再発しました。しかも今回は2つもできています。再度レントゲンを撮ってみるも変化はなんら見られず前回と同様に膿を出してレーザーでフィステルを除去しました。
その後、患者様に細菌で感染した根の治療の必要性を再び十分に説明し今回は承諾を得られたので治療を開始しました。

★1回目の治療(根管治療)★
①被せてある銀歯(FCK)とその中の土台(コア)を外す
②根の中に詰めてあるゴム状のものを取り除く(根管拡大)
③次亜塩素酸ナトリウムにて洗浄を行う
④EDTAで1分間洗浄を行う
⑤水酸化カルシウムを根の中に入れる

★2回目以降の治療(根管治療)★
1回目の治療の③④⑤を繰り返す

★根を詰める治療(根充)★


 

フィステル ブログ1

画像のように歯茎がきれいに治ってきました。根の中もよい状態になったので根の管を詰める治療(根充)を行いレントゲンでしっかりと根の中の先端まで根充がなされているかの確認をしました。

 

★その後の治療★

土台(コア)の型取り→土台をセット→
被せ物(FCK)の型取り→
被せ物をセット

これにて全治療を終了しました。

今回の治療はいかに根の中の細菌の塊(バイオフィルム)を除菌するかが重要でした。そこで②から⑤の根の治療の中の③の次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄を根気強く行ったことが良い治療結果に結びつきました。
もしこの治療がうまくいかなかった場合はこの歯を保存することはできずに抜歯(EXT)となりました。その場合、前後の健康な歯も削りブリッジかその歯のみインプラントということになるところでした。

 

根の治療は難しく手間と日数がかかります(保険治療の場合)
その割に保険点数がほとんどないのが現状で割に合わない治療と言われています。そのためか安易に抜歯してしまうことが多いようです。
最近では保険治療は一切行わず保険外で根の治療を行う歯科医院もあります(その場合、被せ物まで全てが保険外となります)お一人に十分な時間をお取りし何かと規制の多い保険治療とは違い規制のない材料や道具を用いて短期間で治療を終えることができるようです。しかし、保険外ということで1本の治療にかなりの費用がかかることはいうまでもありません。保険治療で安易に抜歯となるよりはそのような選択もよいのではないかと個人的には思います。

クリーン歯科では治癒までの時間(日数)が多少かかりますが、保険治療で可能な限り歯を抜かずに保存するための治療を行っています。
割に合わないから
時間がかかるから
難しいから
だから やらない(できない)ではなく、
保険治療を行う歯科医師としての使命と考え最善を尽くします。

たかが1本の歯ではなく、されど1本の歯です。
手の指・足の指1本1本に役割があるように歯も同じです。
そのように大切な歯は1本たりとも粗末にはできません。
安易に抜歯はできません。
だからこそ、手間や時間をかけてでも抜かずに残したいと考えます。

それが『クリーン歯科の治療』です。