患者様よりお叱りの電話がありましたが・・・

知覚過敏 食片圧入

ある日 患者様よりお叱りの電話がありました

ネットでも同じような疑問を持ち医療ミスではないのかという

よく見かける投稿と同じような内容でした

 

患者様のお話では

銀の詰め物(インレー)を入れたのに痛くて仕方がない

治したのにこんなにしみて痛いとはどういうことなのか

歯科治療に詳しい人に相談したところ

治療の仕方がおかしいと言われた

普通は大きなレントゲンを撮ってそれから治療を始めるのに

レントゲンも小さなものしか撮らなかったではないか

しかも痛みがあるのに神経を取らなかった

良くない治療をされたのだから治療費も返金してほしい

言葉は違えどもざっとこういう内容でした

(ただ この患者様は決して声を荒げることなく

落ち着いてお話をされていました)

電話ではどのような状態なのかがわからないので

すぐにご来院いただき

再度お話をよくお聴きし説明と治療をいたしました

 

結論から言うと

金属の詰め物(インレー)を入れた歯の根元部分の痛みで

知覚過敏』でした

だから 痛いではなくしみて痛かったのです

詰めた部分のインレーにエアーをかけても痛みはなく

その歯の根元部分にエアーをかけると

しみて痛いということです

 

この患者様はお口の衛生状態が良くなく

相当量の歯石と多くの食べ物が

歯と歯の間や歯茎にぎっしり詰まっており

それらが歯茎をギュッと押し下げていたような状態でした

慢性的にそのような状態により

歯茎は下がり(歯茎下がり)

腫れて少しの刺激で出血します

クリーン歯科の詰め物・かぶせ物などの型取りは

隙間なく歯にフィットした物にするために

歯に付着している余分な歯石や汚れを全て取り除きます

出血がある場合は止血もしっかりと行います

また 虫歯を残したままの状態で

かぶせ物や詰め物をすることもありません

白い詰め物にしろ 金属の詰め物やかぶせ物でも同じこと

虫歯を残したままではその中でその虫歯は進行します

表向きはきれいになようでも外してみると

虫歯がひどく進行している場合があまりにも多いことに驚きます

クリーン歯科では臭いものに蓋をするような治療は決していたしません

よってこの患者様も

歯石や食べ物を取らずに詰め物の型を取ることはできないため

麻酔が十分に効くまでの間に歯のクリーニングを行いました

しかし長い間下がったままの歯茎は元には戻らず

通常は歯茎の内側にある歯の根元が表に現れてしまったのです

状態としては

通常 歯茎の内側にあるはずの歯の根もとは

歯石や食べ物により歯茎が押されて下がってしまい

その歯石や食べ物により覆われていたところを

クリーニングしたことによりむき出しになってしまった

そういう状態でした

同じような症状は歯周病の治療後や

歯を強く磨きすぎることでも起きる場合があります

治療は「知覚過敏処置」を行います

しみて痛い部分にコーティング剤を塗ります

1回~数回繰り返すことで大概は症状はなくなります

また 意外と徐々に自然に治ることも多いものです

ご家庭では毎日使用する歯磨剤(歯磨き粉)に

知覚過敏に効果のあるものをご使用されることをお勧めいたします

治療とは違い即効性はありませんが

毎日使い続けることにより効果が出てきます

クリーン歯科ではメーカー様よりご提供いただき

「シュミテクト」をお試し用として差し上げています

ご希望の方はスタッフへお申し付けください

 

次に

痛いのになぜ神経を取らなかったのかということについて

当然ながら 取る必要がなかったということです

痛みの原因は虫歯によるものではなく

食べ物がたくさん歯と歯の間に挟まりそれにより

歯茎が圧迫されての痛みでした(食片圧入といいます)

挟まっていたものを取り除くと確かに虫歯はありました

ところがその虫歯は

神経を取らなければならないほどのものではありませんでした

浅い虫歯ではなかったもののどうにか神経を残せる状態でした

だから神経を取る必要はなかったのです

クリーン歯科ではむやみに神経を取ることはいたしておりません

できる限り神経を取らずに残したいと考えています

神経を取った歯はもろく弱くなります

一説には神経を取った歯は取らない歯の

半分ほど寿命が短くなるといわれています

年数が経つにつれ歯の根にヒビが入りやすく

それにより抜かなければならなくなってしまいます

歯の神経を取ってしまうということは

そのようなリスクを抱えてしまうということでもあります

むやみやたらと簡単に行うべきものではありません

痛みがあるのだから神経を取らないといけない

という考えはあまりにも安直すぎます

先ずは痛みの原因と痛む場所や痛みの種類を

見極めることが大切です

 

最後に

電話をいただいた患者様の

大きなレントゲンを撮らずに

小さなレントゲンしか撮らなかったことについて

 

レントゲンには

口腔内全体が映る大きなもの(パントモ)と

2~3本の歯が映る小さなもの(デンタル)

ほかに立体的に映るCTがあります

それぞれに特徴があり費用も大幅に違ってきます

na-yu2014年07月19日153205 - コピー ブログ

 

 

 

 

 

 

パントモはお口全体の様子がわかるのが特徴です

例えば

親知らずがどのような位置や向きで生えているのか

歯周病の進行具合などが大まかにわかります

多数の虫歯や歯周病がある時など治療の優先順位を決める

治療計画を立てる際に役立ちます

欠点としては

大まかにはわかるけれど

細部まで精密な判断はできないということです

よって治療の際はデンタルも撮らなければなりません

 

fu-ka 2015年08月31日172201 ブログ

 

 

 

 

 

デンタルは

症状のある歯に絞って撮影することにより

根の状態やその歯の周囲の状態などがしっかりとわかります

欠点は

数本しか映らないので口腔内全体がわからないということです

デンタルのみで口腔内を10枚撮ると(10枚法)

パントモと同じように全体の状態がわかります

しかもそれぞれがはっきりとわかるため

あえてデンタルのみで10枚撮影し

パントモを撮らない先生もいらっしゃいます

 

CT 根尖病巣 ブログ  1

CT 歯周病 ブログ 

 

 

 

 

 

 

 

CTは

神経や骨の状況・歯の根のヒビなど

パントモやデンタルでは映らないものが

詳細に立体的に映し出されます

欠点は

保険治療では撮影に条件がある

費用が高いということです

このようにレントゲンにはそれぞれ特徴があります

 

この患者様の場合は

急患でしかも痛い歯のみ治療してほしいと

問診票に記載がありましたのでパントモは不必要

しっかりと映るデンタルのみで十分でした

(パントモを撮ったとしてもデンタルは必須です)

他の虫歯や歯周病の治療もご希望されていれば

パントモもお撮りいたしました

 

レントゲンは

大きくなるほど放射線の被爆量も大きくなります

そして費用も高くなります

 

レントゲン撮影においては

必要なもののみを選択して撮影しています

必要があれば全て撮影する場合もあります