お口の中の大きなできもの(フィステル)=根尖性歯周炎=

ていねいな治療 確実な治療 根治(根の治療) 症例


左下の歯ぐきが腫れたということで来院された患者様です。
大きなできものがあります。これは歯の根の病気からできた『フィステル』とよばれるものです。通常は少し盛り上がっている程度のものが多いのですが、ここまで大きなものは珍しいのではないかと思います。
痛みは全くなく噛むことも普通にできるので食事にはなんの不自由もないのですが、さすがに歯を磨くと歯ブラシがあたって痛いということです。

 

2015年02月20日 ブログ

レントゲンを撮ってみると根管充填はしっかりとしてありますが、根の周りに黒い影があります。
難治性の根尖性歯周炎』と考えられます。
根の中の細菌を無菌状態となるまで徹底的に除菌する治療が必要ですが治療回数を極力減らしたいので、膿を出すだけでそれ以上の治療はしたくないという患者様の強いご希望により根の治療は行いませんでした。

 

膿を出し炭酸ガスレーザーでフィステルを除去したところです。抗生剤と鎮痛剤を投与し治療を終了しました

 

 

前回の治療から3か月半後
再び同じところにフィステルが再発しました。しかも今回は2つもできています。再度レントゲンを撮ってみるも変化はなんら見られず前回と同様に膿を出してレーザーでフィステルを除去しました。
その後、患者様に細菌で感染した根の治療の必要性を再び十分に説明し今回は承諾を得られたので治療を開始しました。

★1回目の治療(根管治療)★
①被せてある銀歯(FCK)とその中の土台(コア)を外す
②根の中に詰めてあるゴム状のものを取り除く(根管拡大)
③次亜塩素酸ナトリウムにて洗浄を行う
④EDTAで1分間洗浄を行う
⑤水酸化カルシウムを根の中に入れる

★2回目以降の治療(根管治療)★
1回目の治療の③④⑤を繰り返す

★根を詰める治療(根充)★


 

フィステル ブログ1

画像のように歯茎がきれいに治ってきました。根の中もよい状態になったので根の管を詰める治療(根充)を行いレントゲンでしっかりと根の中の先端まで根充がなされているかの確認をしました。

 

★その後の治療★

土台(コア)の型取り→土台をセット→
被せ物(FCK)の型取り→
被せ物をセット

これにて全治療を終了しました。

今回の治療はいかに根の中の細菌の塊(バイオフィルム)を除菌するかが重要でした。そこで②から⑤の根の治療の中の③の次亜塩素酸ナトリウムでの洗浄を根気強く行ったことが良い治療結果に結びつきました。
もしこの治療がうまくいかなかった場合はこの歯を保存することはできずに抜歯(EXT)となりました。その場合、前後の健康な歯も削りブリッジかその歯のみインプラントということになるところでした。

 

根の治療は難しく手間と日数がかかります(保険治療の場合)
その割に保険点数がほとんどないのが現状で割に合わない治療と言われています。そのためか安易に抜歯してしまうことが多いようです。
最近では保険治療は一切行わず保険外で根の治療を行う歯科医院もあります(その場合、被せ物まで全てが保険外となります)お一人に十分な時間をお取りし何かと規制の多い保険治療とは違い規制のない材料や道具を用いて短期間で治療を終えることができるようです。しかし、保険外ということで1本の治療にかなりの費用がかかることはいうまでもありません。保険治療で安易に抜歯となるよりはそのような選択もよいのではないかと個人的には思います。

クリーン歯科では治癒までの時間(日数)が多少かかりますが、保険治療で可能な限り歯を抜かずに保存するための治療を行っています。
割に合わないから
時間がかかるから
難しいから
だから やらない(できない)ではなく、
保険治療を行う歯科医師としての使命と考え最善を尽くします。

たかが1本の歯ではなく、されど1本の歯です。
手の指・足の指1本1本に役割があるように歯も同じです。
そのように大切な歯は1本たりとも粗末にはできません。
安易に抜歯はできません。
だからこそ、手間や時間をかけてでも抜かずに残したいと考えます。

それが『クリーン歯科の治療』です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

根管治療(感染根管処置)で抜歯を免れました!!

症例

左下7番の歯肉の腫れが気になるということで

ご来院された患者様です

痛みはありません

早速 口腔内写真を撮ってみると

さ-2 - コピー ○あり 修正

〇で囲んでいる部分に 少しふくらみがあります

レントゲンにて確認したところ

歯の神経はしっかりと取ってあり(抜髄済)

大きな病巣は確認できません

しかし

写真のような歯肉の腫れがある場合は

歯の根の細菌感染が原因であることは確かです

治療は「感染根管処置」を行いました

 

根の中の詰め物を丁寧に取り除き

根の長さを測る根管長測定器を用いながら治療を進めるも

何か違和感を感じ

造影性のある薬を入れて 再度レントゲンを撮影すると

さ-6 - コピー 修正 ブログ

根の先端から少し手前の横の部分より

薬が外に出ているのが確認できました

歯肉の脹らみは根にヒビが入り

その部分から細菌感染し膿が溜まったものでした

金属を詰めていた歯には

小さなひび割れが入っていたことより

おそらく根にヒビが入った原因は

歯ぎしりや食いしばりだと考えられます

 

歯の根の先端は元々 歯の種類によっても若干異なりますが

0.08mmほどの穴があいています

先端でない部分のヒビや穴は何らかの理由により

後からあいたものです

(歯科治療による場合もあります=パーフォレーション)

決して最初からあるものではありません

歯の根は本来無菌の状態を保っているのですが

後からできた穴やヒビにより多くの細菌が増殖し

痛みや腫れを繰り返します

その後 細菌は歯を支えている骨までにも影響を及ぼし

骨が吸収され 歯がぐらつき

最終的に抜歯となってしまいます

 

抜歯とならないように

細菌に感染した根を処置するので

「感染根管処置」といいます

根の治療を総合して「根管治療」といいますがその中の一つです

ところがこの「根管治療」は

非常に難易度の高い治療でもあります

とても難しく 時間がかかり(1~2時間以上) 手間もかかる

にも関わらず

日本の保険では 材料費すら出ないほどの

低い保険点数ゆえに治療を敬遠し

安易に抜歯してしまうことも多いのも事実です

悲しいことに歯科医師が確実な治療の術を習得していないがために

抜歯に至る場合も多々あるようです

少し前も 他院様にて治療途中の患者様が

「何度も同じところが腫れて痛くなるので先生(他院様の)から

今度同じことになったら 抜くしかないですね

と言われたんですが・・・」

と当院に来られました

レントゲンで確認すると根管治療をしっかりと行えば

全く抜く必要のないものでした

(その患者様はそのまま当院で治療を継続して完治しました)

歯科医師側も抜歯を極力回避できるように技術を習得する

それが無理であれば

他の医療機関に紹介するなどして

1本の歯の重みを真摯に受けてとめて欲しいと切に願います

安易に抜いてインプラントに・・・

なんて もってのほかです!

 

クリーン歯科では

どんなに 難しくても

どんなに 時間がかかっても

どんなに 手間がかかっても

その1本の歯を残すことは何よりも大切なことであり

それが歯科医師の使命であると考え

しっかりと治療いたします

抜くことは簡単です

しかし それは

最後の選択であるべきだと思います

常に努力し続け 学習と経験を重ねることにより

しっかりと 歯を残す治療をしていますと 言い切れるだけの

熟練した技術を習得しています

 

さて冒頭の患者様ですが

根管治療の基本をしっかりとふまえ

リーマやファイルなどの切削器具を用いて根管を広げる 根管拡大 →

次亜塩素酸ナトリウム・EDTAにて根管を洗浄する 根管洗浄 →

水酸化カルシウムにて根管内を殺菌消毒する 根管貼薬(チョウヤク) →

最後に

MTAセメントにて根を先端まで隙間なく詰める 根充(コンジュウ)

これで「感染根管処置」は終了です

この一連の過程 どれもが大切であり一つでも省いたり

中途半端な状態で次の過程に進んでも

治療は台無しとなってしまいます

治療は長引いてしまうこともありますが

ひとつひとつの過程を見極めながら進めることにより

治療結果は格段に上がります

さ-9 - コピー 修正 ブログ

 

 

 

 

 

レントゲンでも確認できますが

根の先端・根の横のヒビもしっかりと封鎖されています

その後デュアルキュア型の支台築造用コンポジットレジンで土台を作り

さ-3 - コピー ブログさ-4 - コピー 修正 ブログ

オールセラミックの白いかぶせ物をセットし

今後 同じことにならないように

歯の負担軽減のためナイトガードを作製して治療を終えました